2009年10月8日木曜日

戸板関子:家庭顧問(1)

ああ、こんなことをしているヒマはないはずなのだが……


『読売新聞』1922年9月18日朝刊04面、家庭顧問:戸板關子

1922年(大正11年)の読売新聞である。

読者からと思われる質問に戸板關子(戸板関子)先生が答えるのだが、その回答がなんともぶっきらぼうで、愉快々々。

以下、記事から抜粋。

◇蟲除けの藥品
【問】風蘭の古小枝に生り付いたものゝ、其古小枝の株に蟲がついて蘭の根は喰べませんが 適富したよい藥品がありませうか(春子)
【答】到る處[ところ]の植木屋に賣つて居ります

◇紋付のヤケ
【問】黒絽紋付の紋がヤケてよごれがつきましたがキレイにする方法を願ひます(一家婦)
【答】染物屋に御頼みになるが近道です

◇桃でジヤム
【問】桃で「ジヤム」を造りたいと思ひます其の製造法を(栃木田鶴子)
【答】砂糖でよく煮るとそれで出来ます

◇ソースの製法
【問】家庭用ソースの簡易製造法を御教示下さい(一讀者)
【答】醤油を煮て唐辛子を適度に入れるとよろしい

◇猫背にコルセット
【問】二十歳の女猫背なので苦にしてゐます、コルセットを使用するといゝと聞きましたが効果はどんなで御座いませう(猫背の女)
【答】醫者[いしゃ]におきゝなさい

ソースの製法、あまりにも簡易すぎやしませんか、戸板先生。

この戸板先生、どのような人物かといえば、1902年(明治35年)創立の「戸板裁縫学校」、現在の戸板学園(戸板中学・戸板女子高等学校・戸板女子短期大学)の創設者である。

参考
戸板中学校・女子高等学校
http://www.toita.ed.jp/

戸板女子短期大学
http://www.mt.toita.ac.jp/

戸板関子(といた・せきこ)
明治2-昭和4(1869-1929)。教育者。松操女学校や横浜フェリス女学校などで学び、18歳で郷里・仙台の小学校教員に。その後フェリス女学校、麻布の英和女学校などで裁縫教師を務め、明治35年(1902)戸板裁縫女学校(現・戸板女子短期大学)を創立。合理的な「分解式一斉教授法」を採用し、裁縫技術のスピード化を図りました。また社会事業や慈善事業にも尽力しました。

港区ゆかりの人物データベースサイト・人物詳細ページ (戸板関子)
http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/man-detail.cgi?id=65

生協の白石さんもいいけれど、戸板先生もスバラシイ。

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