2009年10月6日火曜日

ウォルター・ランドー:サッポロ缶ビール復刻版


『文藝春秋』1960年4月号


『文藝春秋』1960年6月号

「<復刻>サッポロ缶ビール」限定発売のお知らせ
~当社初の缶ビール、発売から50周年。“S字輝く”缶ビールをCVSで数量限定発売!~



サッポロビール株式会社(本社・東京、社長・福永 勝)は、1959年(昭和34年)に発売した当社初の缶ビールの復刻版「<復刻>サッポロ缶ビール」を、2009年11月11日(水)から全国の主要なコンビニエンスストアにて、数量限定発売します。
1959年8月、当社初の缶ビールとして発売した「缶入り サッポロビール」は、その斬新なパッケージデザインが話題になった商品です。当時、ブランドデザインのパイオニアとして、またランドーアソシエイツの創立者として世界的に有名であったウォルター・ランドー氏にデザインを依頼し、サッポロビールの頭文字である“S”を大胆に模ったデザインで、20年以上販売した缶ビールです。
昨年行った当社のネット会員を対象にした調査(*1)において、『もう一度飲みたいビール』として最も支持が高かった商品であり、その理由として多くのお客様が「懐かしさ」を挙げましたが、最も多かったのは、飲用経験のない世代を中心とした「興味があるから」という理由でした。この調査結果をもとに、発売から50周年を迎える本年の発売を目指し、本格的な開発に着手しました。
調査結果からも復刻版商品のニーズは年代に関係なくあり、飲料・食品市場においてもいろいろな復刻商品の発売が続いています。さらに、当社において「サッポロラガービール缶」や「焙煎生ビール」の発売で得た知見からも、スタンダードビール市場の喚起を図るために、今回もビール販売構成比の高いコンビニエンスストアにて限定発売します。
パッケージは、今、見ても斬新さを感じるユニークなデザインの“S字”を踏襲し「限定復刻 サッポロビール初の缶ビール」のメッセージでストレートに商品をアピール。また、中味も、発売当時の資料を参考に醸造し、爽やかな苦味のある味わいが特徴で、同じ熱処理ビールの、しっかりした厚みのある味わいの「サッポロラガービール」とはまた違ったおいしさをお楽しみいただけます。(以下略)

復刻ブームなわけです。

passerby/ レイモンド・ローウィ:アサヒゴールド復刻版
http://tokyopasserby.blogspot.com/2009/09/blog-post_2654.html

アサヒゴールドはレイモンド・ローウィ(瓶1957年/缶1958)、サッポロはウォルター・ランドー(缶1959年)。ちなみにキリンの缶詰ビールの発売は、1960年である。

缶のデザインには、アメリカの工業デザイナーとして有名なウォルター・ランドー氏の作品を採用した。ランドー氏が手がけた日本で最初の仕事であった。デザイン料も一流で、なんと6,500ドル(234万円)。当時、大卒の初任給が16,000円ほどであった時代に、いかに高額なフィーであったことか。

サッポロビール物語/容器の革命 缶ビール登場
http://www.sapporobeer.jp/story/vessel/index.html

1951年にレイモンド・ローウィが手がけた煙草「ピース」のパッケージデザイン料が150万円と言われている。それから8年後、物価変動も考慮に入れなければならないが、ランドーのデザイン料はおそろしく高額の印象がある。

* * *

さて、上記プレスリリース引用中、興味深い部分。

昨年行った当社のネット会員を対象にした調査において、『もう一度飲みたいビール』として最も支持が高かった商品であり、その理由として多くのお客様が「懐かしさ」を挙げましたが、最も多かったのは、飲用経験のない世代を中心とした「興味があるから」という理由でした。この調査結果をもとに、発売から50周年を迎える本年の発売を目指し、本格的な開発に着手しました。

このデザインの缶は1959年から20年以上販売されているとある。それゆえ、デザインの変更は1980年代初めであろうか(要確認)。このころまでに20歳を超えている人は1960年以前の生まれである。それゆえ「もう一度飲みたい」と思う人は、45歳以上ということになる。

では、45歳以下の「飲用経験のない世代」は何をもって「興味がある」のだろうか、と。

あたりまえと言ってしまえばそれまでだが、アサヒも、サッポロも復刻の要はその缶のデザインにある。50年前の味だけ再現してもほとんど意味がない。グラスに注がれたビールを飲んで、違いは分かるかもしれない。しかし、ああ、あのときの味だ、懐かしい、と感じることができる人は限られるのではないだろうか。で、じつは大切なのはデザインであって、中身はどうでもいいのではないだろうか、というと言い過ぎだろうか。もちろん、自社の現在の味とは違う必要はある。でも、本当に当時の味である必要があるのだろうか。本当に当時の味が再現されてるのだろうか。



どうせなら、アサヒもサッポロも当時の寸胴なスチール缶を再現して欲しい。あの形が、懐かしさの源なのに。プルトップでもかまわないから。

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