2009年10月24日土曜日

東京都庭園美術館:「 パリに咲いた古伊万里の華」展:歴史への視点




「日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華」展
2009年10月10日(土)~12月23日(水)
東京都庭園美術館(白金)

今年10月15日は、日本磁器が初めてヨーロッパに向けて公式に輸出されてから350年目に当たります。本展はこれを記念し、ヨーロッパに渡った古伊万里を蒐集した碓井コレクションの中から、選りすぐりの名品を紹介します。

http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/koimari/index.html

1659年にオランダ東インド会社が長崎から日本磁器をヨーロッパに最初に出荷して今年で350年だそうだ。年だけではなく日付まで特定されているのだが、これは旧暦ではないだろうかとも思う。

出展作品はすべて「碓井文夫」氏のコレクションから。展覧会は次の4つの局面に分けて構成されている。

第1章 欧州輸出の始まりと活況(寛文様式、1660年~70年代)
第2章 好評を博した日本磁器の優美(延宝様式、1670~90年代)
第3章 宮殿を飾る絢爛豪華な大作(元禄様式、1690~1730年)
第4章 欧州輸出の衰退(享保様式、1730~50年)

展覧会終了までにもう一度見に行こうと思っているのだが、とりあえずの印象。

同じ出来事であっても、それを誰の視点から見るかによってストーリーは大きく異なってくる。たとえば、獲物を追いかけるライオンと、追いかけられるシマウマと、客観的にはひとつの出来事であっても、どちらの視点から見るかによって、物語はまったく違うものになるはずだ。もちろん、どちらの視点から追ってもいいのだが、それらが混在すると見ているほうは混乱してしまう。そんなことを考えた。

今回の展覧会では、その意味での視点が3通りあったように思う。①磁器の生産、輸出国である有田。②国際的なマーケットにおける中国と日本の動向。③東洋磁器の需要国であるヨーロッパである。

展覧会の構成自体は、国際的なマーケットの動向を背景とした日本磁器のヨーロッパへの輸出であり、それが前述の通り4つの局面に分けられている。

展示されている製品自体は、ヨーロッパで蒐集されたもの。すなわち、ヨーロッパにおける日本磁器受容の証人である。しかし、個々の製品に付された解説は、主に絵付けなどの技術的解説で、すなわち生産国日本の事情なのである。

訪れた日は体調がすぐれなかったこともあり、これらの3つの関連がよく理解できなかった。再訪の折りにはもっとしっかり見たい。


| teien museum | aug. 2009 |

1994年にパリに生活の拠点を移して以来、わずかな期間に1000点に及ぶ古伊万里を蒐集した「碓井文夫」氏とはどのような人物なのだろうか。図録に寄せられた文章を読んでも分からない。

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20091204 碓井文夫氏についてのメモ

「パリに咲いた古伊万里の華」展:個人蒐集家
http://tokyopasserby.blogspot.com/2009/12/blog-post_4827.html

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