2009年9月11日金曜日

水飲み場:コドモノクニ/岡本帰一/堀内誠一


先日訪れた世田谷文学館での「堀内誠一展」。展覧会と同企画の本(↑)が会場では完売していたので、書店に注文。それが届いた。この本をはじめにしっかり読んでから、展覧会を見に行けばよかったと思う。

恥ずかしながら、堀内誠一の名前を知ったのはこの展覧会のレビューによってであった。そして、展覧会を見て、彼の手による作品をいままでそれと意識せず、たくさん見ていたことを知った。彼が装幀を手がけた絵本は我が家にもある。彼の描いた絵本もいくつも読んでいる。

堀内自身、絵本を多数手がけているわけだが、他方でさまざまな絵本の紹介にも力を注いでいたという。少年時代に影響を受けたのが『子供之友』、『コドモノクニ』といった雑誌であり、なかでも岡本帰一を高く評価していたという。本書には、帰一が手がけた『コドモノクニ』の表紙が掲載されているのだが、そのひとつが「水飲み場で水を飲む子供」の絵である(↓)。

(『堀内誠一 旅と絵本とデザインと』28頁)

私は帰一の描く人物の、その描写も好きだが、画面全体の構成力もすばらしいと思う。これは勝手な推察であるが、堀内はアートディレクターとして、その誌面構成力を評価していたのではないだろうかと思う。

で、水飲み場であるが、当時(1930年/昭和5年)にこのようなカタチの水飲み場は実在したのだろうか、それとも帰一の創作であろうか。造形的には「無駄な装飾」であるが、バランスが取れていてじつに美しい。

この絵を見て、以前に似たような水飲み場の写真を撮っっていたことを思い出した。

| odawara | aug. 2005 |

小田原城址公園のなかの、象の園舎の前である。写真の左側が天守閣で、右側の柵の向こうに象がいる。詳細は記憶していないのだが、写真からするに水栓は比較的新しいように思われる。本体はいつごろつくられたものであろうか。いまだに現代的な無粋な造形に置き換えられていないことを喜びたい。

| odawara | aug. 2005 |

2005年、8月の暑い日であった。

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